第一章 生きてる実感

第一章 生きてる実感

第一章 生きてる実感⑥

第一章 生きてる実感⑥  薄磯海岸で、破壊された防波堤の上に立ってみた。眼の前には穏やかな海が広がる。静かな波の音、暖かい日差し、本来ならそれは美しいものとして認識するはずなのだが、こんなに穏やかな海がある日急に脅威に変わり襲い来るるのか...
第一章 生きてる実感

第一章 生きてる実感⑤

第一章 生きてる実感⑤  「これさっさと運んで!三階ね!」 階段で三階まで重たい荷物を運ぶのはかなり大変だった。日当6500円、交通費は無し。その日の現場は二俣新町駅という聞いたこともない駅で、住んでいる下北沢からは1時間以上かかる場所だ...
第一章 生きてる実感

第一章 生きてる実感④

第一章 生きてる実感④  朝方警備員に起こされ目を覚ます。それもそうだろうと思いながら、謝ってすぐに寝袋を片付けて金山駅を出た。かと言って行く宛もなくとりあえず始発を待って電車に乗ることにした。思えば人生で初めて野宿というものを体験してみ...
第一章 生きてる実感

第一章 生きてる実感③

第一章 生きてる実感③  思い返せばあの日がすべての始まりだったのかもしれない。あれは2010年の7月のこと。山梨の田舎から上京し、日本美容専門学校を卒業して、かねてより切望していた日本の流行の先端にある原宿・青山の美容室で働いていた。僕...
第一章 生きてる実感

第一章 生きてる実感②

第一章 生きてる実感②  いよいよ出発の朝がやってきた。出国をこの4月15日に決めた理由は特にない。ただ数日後にフィリピンのマニラへ飛ぶために韓国を経由し、ついでにシェアハウスメイトの友達に会ってこようと思った時にちょうど安いチケットが出...
第一章 生きてる実感

第一章 生きてる実感①

第一章 生きてる実感①  昼下がりの誰もいないリビングに声が響く。 「それでは旅のプランを教えてください」 「はい。まずは韓国に行って、その後はフィリピンに行って…あとは全然決めてないんですけど、ひたすら西に行きます。だいたい1年で周って...